月山登山レポート。森敦の著作に誘われて(月山・鳥海山、われ逝くもののごとく)
レポート遅れました。霊山として名高い山形県の月山を登山したときのレポートをお送りします。
10/23、バイクで行ってきたわけですが、自宅出発は5:00出発のつもりが寝ぼけた頭で準備作業したおかげで伸びに伸び、結局5:50に。もう寒い時期ですがワークマンで購入した今年のニューモデルであるデニム生地タイプのイージスは良好な防寒性能を発揮してくれました。昇ったルートは修験者が山頂の月山神社を目指して通る道で、湯殿山神社からスタートします。
湯殿山神社までは自家用車での自走は禁じられており、レストハウスからバスで移動するか徒歩でアクセスします。湯殿山神社は神域ということで、カメラによる撮影を禁止されてました。登山を開始する前に湯殿山神社をお参り。本殿は土足禁止で、靴を脱いでからお祓いを受けて中に入ります。ご神体は盛り上がった岩山で、温泉が湧いていて、歩く場所を気を付けないと熱湯に当たります。お参りを終えて妹夫婦への秘密のお土産を入手したらいざ登山出発。レストハウス発のバスに乗ったのは9:30。登山開始はだいたい10:05くらい。
登り道では霧が濃くて写真を撮れる景色は見えず、ひたすら登ることに集中しました。
案内では中級者向けとありましたが、湯殿山から出発しての序盤はかなりの急坂をよじ登る悪路が続いてビビりました。崖としか言えない斜面に設置された梯子をいくつも越えるというすさまじい登攀が続きます。それでも45分くらい昇ればあとは普通の登山道になって気が楽になりました。
道はいつしか尾根伝いになり、終盤の難所を昇りきれば平坦な道になり、少し進むと山小屋、その奥の月山神社に到着。登頂は12:04でした。
神社は9月中旬に冬季閉鎖済みで、神職の人たちはおりません。奥にある本殿への参拝はできます。撮影は自粛して撮ってません。お参りを済ませて少し休憩。カロリーメイトを2ピース食べたらいざ下山開始。12:23。霧というか雲が晴れて遠くまで見渡せるくらいになりました。すかさず携帯を取り出して風景を写真に納めます。
この三枚を撮ったすぐ背後に神社があります。奥に見える山小屋を越えれば岩がゴロゴロした急斜面を降りていきます。
これが昇る時の最後の難所です。 難所を降りきるとなだらかな尾根伝いを歩くことになります。 日本海から陸に向かう風が山にぶつかって雲が出来ている様子でしょうか。雲の形が絶壁のように立ち上っているのがわかります。 写っているのが湯殿山です。この右側を通って降りてゆきます。
この写真の後には序盤の難所をおっかなびっくり降りていきます。履いているのがちゃんとしたモンベルの登山ブーツで助かりました。一度でも足を滑らせれば大怪我必須の危険な坂道でした。湯殿山神社に着いたのが14:15くらい。バスに乗ってレストハウスへ戻ります。
レストハウス食堂にてカツカレー注文。人気の無い寂しい道を辿ってようやくここまで来ると人がいっぱいで安心します。登山中はカロリーメイトやプロテインバーなど携帯食ばかりで、やっとありつけた人間らしい食事に体も心も反応しました。パクついた時点で15:01分。 レストハウスに停めたバイク周辺の紅葉を撮ってみました。帰り道は日本海側の鶴岡市に抜けて海沿いをひた走り。高速道路は節約の為に使いません。そもそもなぜか高速道路を走るとタイヤの消耗が早まるので極力下道を走る主義になりました。ヘロヘロで走っていても数時間後には空腹感も痛覚も便意も薄まり、ただただ単車を走らせることに集中するライダーズハイに陥ります。そして帰り着くと一気に疲労感に襲われます。抑えていた尿意も空腹感も爆発し、お風呂に入った時がすごく気持ちがいいのです。ハードツーリングの醍醐味です。
月山への思い入れは6年前ワイルドワン郡山店で見つけた一冊の小説がきっかけでした。森敦という作家の作品に感銘を受け、その後のつい先月に読んだ長編でも物語の内容から月山と鳥海山および庄内平野に対する深い愛情を感じ取りました。作風はまったく説明不可能の不思議な魅力としか言いようがありません。作品の内容を100パーセント理解できる自信はありませんが、この作家が愛した月山を実際に昇ることで何かを理解できるような気がした次第でした。月山を昇り終えての感想としては、寂しさが強烈に応えました。その点、富士山よりも心に深く刻み込んでくるものがあります。冬に向かう自然の寂しい感じ、標高の高いところ独特の静けさ、無人の神社、風の冷たさ、なのに下山のときに見せてくれた美しさ。そういえば手元にある森敦の作品ふたつには寂しさと美しさの不思議な化学反応が読み取れます。これからますます、登山とツーリングの組み合わせが板についてきそうな気がします。